ファン作り ブランド戦略<4>ブランド構築の手順を構成する7つのエレメント
- KANBEE INTEL,INC. 山本兼嗣
- 3月13日
- 読了時間: 11分

ブランディングの成功は、いきなり華やかなキャンペーンや広告から始めるものではありません。むしろ、土壌づくりからスタートしなければならないともいえます。土壌とは、ブランドが根を張り、成長するための基盤となる価値観や哲学、そして顧客との信頼関係を指します。
企業やブランドが自分自身を正確に理解し、独自のポジショニングを確立することは、後の戦略的な展開を大きく左右します。この基盤がしっかりしていないと、外向きのメッセージや施策が一時的な効果にとどまり、ブランドの価値が薄れてしまうことにも繋がりかねません。
つまり、ブランディングにおいて最も重要なのは、まず自社の強みを見つけ、そこから顧客にとってどんな価値を提供できるかを明確にすること。これができて初めて、ブランドは市場において確固たる立ち位置を確立し、長期的に愛される存在になることができると言えます。
ブランディングに必要な7つのエレメント
弊社では、ブランド構築には、その開発に必要な次のような7つのエレメントを組み合わせ、相互関係を掛け算しながら、デザインやロゴ、映像、イベントなどの表現管理を統一して行っています。ブランド設計の段階でしっかりとした枠組みが出来上がっていないと、すべてが行き当たりばったりの形になり、最終的には効果的な成果を上げることができません。このような設計の不備は、効率的な売上につながる計算された戦略を生むことを難しくしてしまいます。
そのため、ブランド構築を行う際には、必ず以下のような設計を行っています。これにより、各要素が有機的に結びつき、ブランドとしての一貫性を保ちながら、確実に市場での位置を築いていきます。
現状把握と高級化シフトMD構造の再構築
まず一つ目は、現状把握と高級化シフト、そしてMD(マーチャンダイジング)構造の再構築です。ブランド構築の第一歩として、現状を正確に把握することは非常に重要です。現状の市場状況や競合の動向、顧客層の変化を把握することで、ブランドの立ち位置や今後の方向性が明確になります。そのうえで、ブランドの高級化を目指したシフトを図ります。
高級化シフトとは、単なる価格の引き上げではなく、商品やサービスの質の向上、ブランドイメージの洗練を意図的に進めることです。これを実現するためには、商品ラインアップの見直しや、販売戦略の再構築が不可欠となります。そして、MD構造の再構築は、顧客にどのような価値を提供するかを明確にし、商品とサービスが一貫して高級感を持つような仕組みを作り上げるプロセスです。
この最初のステップをしっかりと実行することで、ブランドの基盤が整い、次の施策へと進むための強固な土台が作られます。
ブランドコンセプトとペルソナの設定
二つ目は、ブランドコンセプトとペルソナの設定です。ブランドコンセプトは、ブランドが市場でどのように認識されたいか、そしてどんな価値を提供するのかを明確にするための指針です。これにより、ブランドの特徴や魅力を消費者にしっかりと伝えることができ、ブランドの独自性を強化します。
さらに、ブランドコンセプトを具現化するために必要なのが、ペルソナの設定です。ペルソナとは、ターゲットとなる顧客像を具体的に描いた人物像であり、年齢、性別、職業、ライフスタイル、価値観などを細かく設定します。このペルソナを基に、マーケティング施策やコミュニケーション戦略を立てることで、より的確にターゲット層にアプローチすることが可能になります。
ブランドコンセプトとペルソナの設定は、ブランドの方向性を一貫して示し、顧客との強い結びつきを築くための重要なステップです。この段階をしっかりと踏むことで、ブランドのメッセージはより明確になり、市場での信頼を得ることができるのです。
マーケティング戦略の設定
三つ目は、マーケティング戦略の設定、特に「競争率の高いレッドオーシャンで戦わないクロスマーケティング」の活用です。競争が激しい市場でいくら努力しても、他の競合との差別化が難しくなり、効果的な成果を上げることが難しくなります。そのため、マーケティング戦略では、無理にレッドオーシャン(競争の激しい市場)で戦うのではなく、クロスマーケティングを活用して独自の市場を開拓することが重要です。
クロスマーケティングとは、異なるチャネルを組み合わせて、顧客に一貫したメッセージを届ける戦略ですが、その際に意識すべきなのは、競争の激しいエリアではなく、まだ競争が比較的少ないニッチな市場やターゲット層を狙うことです。例えば、カフェをオープンするにしても、通常のカフェでは大手には到底敵いません。そのため、競争の激しい市場での成功を目指すのであれば、単なる「カフェ」という枠にとどまらず、独自のコンセプトを打ち出すことが重要です。例えば、「カフェ×刀」や「カフェ×仏像」、「カフェ×コスプレ」など、ニッチでありながらも、専門雑誌が存在するほどの熱狂的なファンが集まるようなコミュニティをターゲットにすることで、差別化を図ることができます。
このように、レッドオーシャンを避けるためには、競争の少ないブルーオーシャン市場を見つけ出し、そのニッチなニーズに応えることが鍵となります。カフェ×刀であれば、刀や武道に興味を持つ人々をターゲットに、カフェ×仏像ならば仏教や宗教文化に興味を持つ層にアプローチできます。これにより、既存の大手カフェとの差別化ができるだけでなく、特定のコミュニティと深い結びつきを築き上げることが可能になります。
クロスマーケティングの手法を駆使して、このようなニッチ市場で独自のブランドを確立すれば、競争が激しいレッドオーシャンに立ち向かう必要はなく、むしろそのニッチなファン層に愛されるブランドとして市場での地位を築くことができるはずです。
ブランドVI(ヴィジュアル・アイデンティティー)と商品のデザイン
四つ目は、ブランドVI(ヴィジュアル・アイデンティティー)と商品のデザインです。ブランドの視覚的な印象は、消費者に与える影響が非常に大きいため、慎重に設計する必要があります。弊社では、日本酒ブランドの酔鯨酒造様の商品のデザインを一新した実績があります。このデザイン刷新により、酔鯨酒造様のブランドは視覚的に大きく変革し、ブランドの個性がより明確に伝わるようになりました。
その結果、ユニクロのTシャツに採用されたり、全国のお酒のアワードでパッケージ賞を受賞したりするなど、視覚的なデザインの重要性を実証することができました。このような成果は、ブランドVIを一貫して強化することで、ブランドの認知度が高まり、消費者に対して強い印象を残すことができることを示しています。
ブランドVIの重要性は、ロゴや色、フォントといった基本的な要素だけでなく、商品そのもののデザインにも大きく影響します。優れた商品デザインは、ブランドの価値観を消費者に直接伝える力を持ち、商品とブランドの結びつきを深めます。デザインが良いと、消費者が手に取った瞬間にブランドに対する信頼感が生まれ、さらに愛される商品に成長していきます。
商品セグメントのマーケティング
五つ目は、リブランディングコンセプトに伴う商品セグメントのマーケティング設定です。リブランディングは、ブランドのイメージやポジショニングを再構築する重要なプロセスであり、単にビジュアルを変更するだけでなく、ブランドの価値観やターゲット層に合わせた新たな方向性を打ち出すことを意味します。この過程では、ブランド全体の戦略を見直し、それに伴う商品セグメントのマーケティングも再設定する必要があります。
商品セグメントとは、異なる市場や顧客ニーズに応じて、商品をカテゴリーごとに分けることです。リブランディングを行う際には、新たなコンセプトに基づいて、それぞれのセグメントに適した商品を提案することが重要です。例えば、富裕層向け、中間層向け、レギュラー商品向けなど、ターゲット層に応じて商品ラインを細分化し、それぞれのセグメントに最適なマーケティング戦略を構築します。富裕層向けには、高品質や希少性、プレミアム感を強調した商品やサービスを提供し、独自性やブランドのステータスを訴求することが重要です。中間層向けには、コストパフォーマンスの良さを前面に出し、品質と価格のバランスを意識した商品をラインアップに加えることで、より広い消費者層にアプローチします。また、レギュラー商品向けには、日常的に使いやすく、機能的で手頃な価格帯の商品を提供することが大切です。このように、ターゲット層ごとのニーズに合わせた商品設計と、それに基づくマーケティング施策を行うことで、ブランド全体の価値を高め、幅広い消費者層にリーチできるようになります。
このように、リブランディングを通じて商品セグメントを明確にし、それぞれに最適なアプローチを取ることで、ブランドの一貫性を保ちながら、より広範囲な市場にアプローチすることができます。そして、リブランディング後の新しいブランドイメージがターゲット層にしっかりと伝わり、顧客の心に深く響くようになります。
ブランドの可視化とwebSNS 関連のデザイン
六つ目は、ブランドの可視化とweb/SNS関連のデザインです。現代において、ブランドを消費者にしっかりと認知させ、印象を残すためには、オンラインでの可視化が欠かせません。特に、webサイトやSNSは、ブランドのイメージを発信する重要なプラットフォームとなっています。弊社では、ブランドの可視化において特に重要なのは、ユーザーにそのブランドのイメージを一目でわかるようにすることだと考えています。そのため、動画や写真などの視覚的要素を積極的に活用し、消費者に強い印象を与えるように取り組んでいます。
視覚的なコンテンツは、ブランドの個性やメッセージを迅速かつ効果的に伝えるための強力なツールです。動画や写真を多く取り入れることで、ブランドの魅力やストーリーをよりダイナミックに表現することができ、消費者とのエンゲージメントを高めることができます。特にSNSでは、視覚的要素がユーザーの関心を引き、シェアされる可能性を高めるため、効果的なブランドメッセージを広めるための重要な手段となります。
また、ウェブサイトのデザインにおいても、ユーザーが直感的にブランドのイメージを理解できるよう、ビジュアルを中心に構成されています。レスポンシブデザインを採用し、写真や動画コンテンツを最大限に活用することで、ユーザーがどのデバイスからでもブランドを強く認識できるようにしています。
このように、ブランドの可視化を強化し、webやSNSで一貫したブランドイメージを伝えることが、消費者との信頼関係を築くために非常に効果的です。
アンバサダー戦略とエンゲージメントマーケティング構築
最後の七つ目は、アンバサダー戦略とエンゲージメントマーケティングの構築です。弊社では、ファン作りのマーケティングにおいて、最初のきっかけ作りとしてアンバサダー戦略を採用しています。この戦略は、ブランドの熱心なファンであるアンバサダーが、さらに新たなファンを呼び込むという、いわば「口コミ効果」の輪を広げるものです。アンバサダーとなっていただいたファン顧客が、その魅力を他の人々に伝え、自然とブランドの支持者が増えていくという仕組みは、極めて効果的です。
アンバサダー戦略の効果は、単に商品を宣伝するだけではなく、消費者とブランドとの強い絆を築く点にあります。ファンが自らブランドの代弁者となり、その熱意を共有することで、ブランドの忠実な支持層を形成し、長期的な顧客維持にも繋がります。また、この戦略は、口コミの信頼性が高く、他の広告手段では得られない効果を生むことが多いのです。
さらに、アンバサダー戦略と並行して、顧客との絆を深めるためにエンゲージメント(絆)マーケティングを構築しています。エンゲージメントマーケティングとは、顧客との対話を大切にし、共感を生むコンテンツやアクションを通じて、顧客の関心を引き続き維持し、ブランドとの感情的なつながりを強化する施策です。弊社では、このための比較的大きなイベントを毎年最低1回は行うようにクライアント様にご提案し、それを実行しています。それらのイベントが、SNSやオウンドメディアマガジン、webサイトなどを通じて、顧客に対して価値のある情報や特別な体験を提供し、その結果として顧客のロイヤルティが高まり、ブランドに対する愛着が育まれます。
アンバサダー戦略とエンゲージメントマーケティングを組み合わせることで、ブランドの成長を加速させ、さらに強固な顧客基盤を築くことができます。
まとめ
現状把握とターゲット設定ブランドの現状を把握し、ターゲット層を明確にします。
クロスマーケティングで差別化競争を避け、ニッチな市場で差別化を図る戦略を実施します。
ブランドVIと商品デザインの統一ブランドのビジュアルと商品デザインを一貫させ、消費者に強い印象を与えます。
リブランディングと商品セグメントの再編成ブランドの方向性に基づき、ターゲット層に合わせた商品ラインを整理します。
ブランドの可視化とSNSでの発信webやSNSでブランドの可視化を行い、消費者に一貫したメッセージを伝えます。
アンバサダー戦略ブランドのファンをアンバサダーとして巻き込み、口コミ効果で新たなファンを獲得します。
エンゲージメントマーケティング顧客との絆を深め、長期的なブランドの支援者を育成します。
上記のブランド構築についても詳細なども是非お気軽にお問い合わせください。
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